日韓 草の根交流・第二回顕彰式典(2010年12月14日)

「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第二回顕彰式典が昨年12月14日に、
韓国文化院で行われました。





 開会の言葉           高円宮妃殿下のお言葉                 来賓祝辞                来賓祝辞
     
     渡邉 泰造 理事長           名誉総裁 高円宮妃殿下        権 哲賢 駐日韓国大使     村田 直樹 外務省広報文化交流部長


◇◇受賞事業◇◇
北海道旭川地区サッカー協会


代表者:太田英司・北海道旭川地区サッカー協会会長


<活動内容>
韓国の姉妹都市水原市とのサッカー交流で、小中学生の交流試合を交互に開催し、今までに2,200名が参加。ホームステイも併せ実施して友好を深めると共に、伝統行事にも参加。

<推薦者の評価>
20年間途絶えることなく実施し、交流人数も非常に多い。行政主導でない一般市民による草の根交流で、人と人とのつながりを軸に交流の輪を広げている。


<受賞者のひと言>
長年地道にやってきたことが実を結んだ。今後も草の根で、初心を忘れずに民間交流を続けていきたい。




■福岡県田川市立後藤寺小学校「韓国吐月初等学校との国際交流教育」


代表者:中野高保・福岡県田川市立後藤寺小学校校長


<活動内容>
韓国「吐月初等学校」との教育・文化交流で、教員・保護者を含めて13年間継続。共同授業による異文化理解と、歌・ダンス・工作等の作品交換や体験学習を通じて国際理解と友好を維持。

<推薦者の評価>
授業交流を通じて、両国の伝統・文化・くらしを理解しあっている。姉妹校としての長期に亘る取り組み、教職員・保護者を含めた幅広い交流が国際理解を高めている。

<受賞者のひと言>
同じことを続けるのは難しくて、財政的にも厳しいですが、賞を頂いたことを今後の励みにして頑張りたい。




■韓国俳句研究院「日本の俳句普及活動」



代表者:郭大基・韓国俳句研究院院長

<活動内容>
日本固有の伝統文化に触発され、私財を投じて韓国俳句研究院を創立し、俳句講座・俳句大会・HP等を通じて日韓の文化交流を促進。韓国の中学・高校でも俳句の普及を図る。

<推薦者の評価>
安定した大学教授の職を辞して日本の俳句の普及に尽力している。また多様な韓国伝統文化を日本人学生等に紹介し、日韓の文化交流促進に大きな貢献をしている。。

<受賞者のひと言>
俳句は自然と近く、自然は私達の永遠の先生。これからも俳句の青少年への普及と、両国文化の交流に努めたい。



■サンブリッジ国際交流協会
日韓子どもカササギ交流事業

代表者:竹井清・サンブリッジ国際交流協会理事長

<活動内容>
子ども達に国際的視野を身につけさせるべく、お互いの顔が見える交流を実施。小学生による学校訪問・授業参加や、ホームステイ・研修旅行等を通じて体験学習を行い、異質の文化を摂取・理解。

<推薦者の評価>
近い国ほど交流が難しいという考えの下に、韓国との交流に踏み切った。歴史問題等で多くの日韓交流が中断する中、一度も途絶えることなく活動を継続し、日韓友好に貢献している。


<受賞者のひと言>
過去の経験から、近い国ほど交流が難しい。ともかく隣人を大事にして、日本と韓国が一緒になったら世界を動かせる。









◆ 高円宮妃殿下のおことば ◆

 「大きな岩が同じ方向へ」

 宮様は国と国との友好関係は、人と人との交流が基本というお考えをお持ちでした。

 宮様が亡くなられたのは2002年。日本と韓国が力を合わせて成功へ導いたFIFAワールドカップ開催の年です。両国が共同で一つの目標に向かって歩み寄り、世界的に影響力のある大きなイベントを実施したことを殿下は、日本と韓国の間の新しい関係、新しい交流の大きなきっかけとお考えであられました。私は殿下にお供して2002年のワールドカップの際、大統領のご招待で公式に韓国を訪問いたしました。帰国後、殿下は今までお互いに違った方向から押していたため動かなかった大きな岩が、一緒に同じ方向から押したので、動き始めたとおっしゃいました。後はそれをいい方向へ押し進めていく努力を怠らないようにしなければならないとのお考えをお持ちでした。

 この高円宮記念日韓交流基金の創立は、いい方向に進めていく一つの手段として必要なものであり、皆様のご支援のおかげで、着実に成果を生みつつあると感じております。

 二年目ということもあり、顕彰事業が定着するかどうか心配しておりましたが、今年もまた多くの推薦、応募があり、その中から本当にレベルの高い交流事業が選考されたと思います。高円宮賞を差し上げる4件の交流事業は、いずれも地域に根ざした息の長い活動で青少年の教育と育成、両国文化の紹介と理解、さらにはスポーツ競技を通じた友好親善に大変貢献している素晴らしいものです。こうした活動が市民の皆様の行動と努力により、静かに続けられてきたことに私は強い感銘を覚えます。国と国をつなぐのは結局は人です。草の根交流の大切さをつくづく感じている次第です。









◇◇ 選考委員メッセージ ◇◇

◆「受賞者の熱意伝わる」―― 小田島 雄志 東京大学 名誉教授
 

 「昨年の第1回目は日韓間の交流が幅広く見えたが、今回は俳句の交流など、より具体的に見えてきた。実際にいろんな交流をやっている。

 素晴らしい交流が多かったので受賞事業をもう2つか3つ増やせればと思った。今後もっと広げていいのではないか。1回目は手探りだったが、勝負は来年の3回目だ。受賞者の言葉の熱意がわれわれにも伝わってくる」





◆「サッカー交流に値打ち」―― 川淵 三郎 日本サッカー協会名誉会長
 

「今回の選考では、俳句を教えられている先生がとても印象深かった。サッカー界の一員としては、北海道の旭川という遠隔地で20年間もサッカー交流やってきたことは値打ちがあると思う。交流人数も多く、サッカー交流は多いが一際目立つ存在だ。いままで聞いたこともない交流もあり、このような顕彰を通じて刺激を受ければ幸いだ」







◆「日本文化伝える俳句」―― 安西 祐一郎 慶應義塾 前塾長・学事顧問
 

「大変長い年月にわたって、活発に交流を続けてこられた団体が多いのが大きな特徴だ。俳句は、韓国に日本の文化を伝えるという意味で素晴らしいことだと思った。また、大きな団体ではなく、いろんなバラエティーがあって良かった。昨年の選考も甲乙つけ難い状態だったが、まだまだ日韓の交流はいろんなところで盛んに行われていると思う。基金のプログラムがもっと広く知られると嬉しい」






◆「陰の主人公を顕彰」―― 陳 昌鉉 バイオリン製作者
 

「韓日は過去にひきずられやすいが、心の絆は、国益とか政治に左右されてはだめだ。人間と人間、民族と民族、国民と国民が心を通わせ、友情や文化交流に役立てる。そういう陰の主人公がいるものである。両国の友情のため頑張った人には普遍性がある。この基金はそういう人を顕彰することに意義がある」







◆「推薦したい団体多い」―― 張本 勲 元プロ野球選手・野球解説者
 

「援助をもらわずに民間レベルで、しかもホームステイしながら、韓国の文化、日本の文化を子どもの頃から学び合うことで、将来手を取りあっていい国をつくってくれるのではないだろうか。長年交流を続けている人も多く、内容的に非常にいいものがある。まだまだ推薦したい団体が沢山ある」