◆「宮さまのご意志を受け継いだ10年」 ◆
早いもので、今年殿下がお隠れになりましてから10年を迎えましたが、2002年日韓共催のFIFAワールドカップ(W杯)の開会式のために初めて韓国を公式訪問してからも10年の歳月が経ちました。殿下は国と国の友好は人と人との交流が基本にあるというお考えをお持ちでした。両国間の友好関係向上のために役に立ちたいと、強くお考えでいらした殿下のご遺志を継ぐこの高円宮記念日韓交流基金は、皆様のご支援のおかげで活動が着実に成果を生みつつあると感じております。
高円宮賞を差し上げる4件の交流事業は国際的視野を持った青少年の教育と育成、両国文化の踊りや音楽を通した交流、さらには体の不自由な方々の心温まるスポーツ交流など、いずれもボランティア精神を発揮した民間交流ならではの純粋でさわやかな活動です。
国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人ひとりの人間が、一歩ずつ進めていくものです。国としての取る立場が、そのようなものであっても、日本、韓国両国民のためには、隣国同士信頼の絆が強いにこしたことはありません。日本と韓国とは、それぞれの固有の文化と歴史を持っています。しかし、隣国ですから当然、その文化と歴史は、交差するところがたくさんございます。例えば、日本語と韓国語をみれば、言語的に極めて近いということがわかります。すなわち日本と韓国は、友人関係を超えた兄弟関係にあると思っております。お互いの立場を尊重しながら、同じ時間と空間を少しでも多く共有し、日韓共催W杯の時のように、一緒に何かを成し遂げる思い出を多く作っていくことが大切だと考えます。
今回受賞された事業は、世代を越えて長く続けてこられたものが多いようです。継続が友情を育み、信頼が固い絆となって結ばれていくのを見るのは、なによりの喜びです。
地道な草の根活動によって日本と韓国の方々の出会いの場が広がり、友好の場が次第に大きくなっていくことを心より願って、式典に寄せる言葉とさせていただきます。