「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第五回顕彰式典が昨年12月9日に、
韓国文化院で行われました。
「高円宮記念日韓交流基金」の第五回顕彰式典が東京・四谷の韓国文化院で行われ、日韓から「高円宮賞」4件が表彰されました。
◆高円宮妃殿下のおことば◆
今年もまた「高円宮記念日韓交流基金」顕彰式典で、皆様とお会いすることができるのを嬉しく思います。顕彰式典は、今年で五回目を迎えることになりました。
日本と韓国は古来より、人と文化の往来、豊かな交流がありました。韓国には「往く言葉が美しければ、来る言葉も美しい」ということわざがあるそうですが、誠意を持って人にやさしい言葉を投げかければ、返ってくる言葉もまたやさしくなると思います。そういう交流を続けてこられた個人・団体の方々を表彰できることを喜びに思います。
国際交流についていつも思うことは、形だけの交流はいったん事が起きると簡単に途切れてしまいます。一方信頼に基づいた友好の絆は簡単にはこわれません。今回の受賞者は、そういう交流を続けてこられました。いずれも、とても純粋かつさわやかな交流で、私はそれらの無私の精神をとても美しいと思います。この精神が国境を超えて、人と人を結びつけると思います。
先日、韓国大使館で行われたキムジャンに参加し、ともにキムチ漬けを行う体験をしました。
両国の立場を尊重するには、相互訪問して直接人々に触れ合い、文化を相互理解することが何よりの近道です。そのためにも草の根交流が大切になると思います。今後も友好の輪が広がることを祈念いたします。
|
開会の言葉 来賓祝辞 来賓祝辞
渡邉 泰造 理事長 李 丙琪 韓国大使 安藤 裕康 国際交流基金理事長
◇◇受賞事業◇◇
■韓国素明女子高校と北海道羽幌高校及び羽幌町民との国際交流事業
代表者:羽幌国際交流協会 (小寺 克彦 代表)
<活動内容>
学校間の相互交流で、学校訪問・授業参加に加え、ホームステイと地域交流によって、生活文化を体験する。羽幌国際交流協会が中心となった活動で、郷土芸能の披露や、料理教室、離島・施設訪問等も実施。
<選考委員会・推薦者等の評価>
交通の便の悪い北海道北西部にあって人口減少に悩む旧炭鉱町が、いち早く韓国との交流を始め、ここ10数年は地元住民と学校が一体となって、韓国の学生を長期間(8日間)受け入れ交流している。
<受賞者のひと言>
初めて韓国に行って老人に道を聞いた時、「私は日本語は話しません」と流暢な日本語で返事が返ってきた。これではいけないと思い、北海道の田舎から韓国との交流を思い立った。大海の中に一滴の水を注ぐようなものかも知れないが、「継続は力」と思って町民ぐるみの交流を続けている。
■韓日青少年及び大学生教育交流
個人:趙 基興 氏 (韓国・平澤大學校 總長)
<活動内容>
1971年に亜細亜青年協会で韓日青少年交流を始め、以後45年間に亘って日韓の教育文化交流を継続している。1980年には平澤大學校を創立し、日本全体を学ぶ「日本学科」を設置して多くの学生を送り出している。
<選考委員会・推薦者等の評価>
45年の長期に亘り活動を続け、大学では語学や文学のみならず、歴史・経済・文化等を含めた日本全体について教え、知日派の青少年を輩出してきた。日本の各大学との多彩な交流も評価。
<受賞者のひと言>
今は「交流と共有」の時代である。交流できる場を広げて行くと、美しい日韓関係となり希望の花が咲く。外国での受賞は初めてであるが、隣国として協力すべき歴史的使命感を感じている。この時代を豊かにし、後の時代に大きな励みと力を与えるべく、未来に向け手を取り合って前進したい。
■日韓親善少年柔道交流
代表者:栃木県日韓親善協会 (青木 勲 会長)
<活動内容>
小中高生の柔道交流大会を開催し、スポーツ交流とホームステイを含めて両国の友好親善を図り26年目を迎える。毎回約50人の生徒が交流し、柔道の試合のみならず、地元の伝統行事や歴史文化にも接する機会を提供。
<選考委員会・推薦者等の評価>
栃木県の日韓親善協会が中心になって先代からの交流を受け継ぎ、日韓の平和的交流と、青少年の健全育成・人格形成と、国際感覚の涵養に貢献している。3回目の推薦であることにも熱意を感じる。
<受賞者のひと言>
過去にはいろいろあったが、日本と韓国の掛け橋になろうとして26年間民間外交を続けて来た。物は壊すことができるが、築き上げた「信頼と信用」は簡単には壊すことが出来ない。また、スポーツは世界の垣根を超えることが出来る。草の根レベルでコツコツと時を刻むのが、本当の民間交流だ。
■日韓交流若手指導者育成事業
代表者:車椅子レクダンス普及会 (黒木 実馬 理事長)
<活動内容>
福祉レジャー・スポーツが普及していない韓国で、ボランティアで車椅子ダンスの指導者を育成し、障害者の支援を続けて来た。結果として多くの学生インストラクターや若手指導者が育ち、青少年を含めた交流の場となっている。
<選考委員会・推薦者等の評価>
まず指導者を育成するという着眼点の良さと、多くの協力者を育てることによって、より広く障害者の交流機会を提供してきた。自衛官時代からの黒木氏個人の社会奉仕精神も高く評価された。
<受賞者のひと言>
二十数年前、自衛官の同僚と二人で韓国を訪問し、白善燁(ペク・ヨンソプ)大将に出会った。その後10年間に亘って毎年50人の学生を連れて交流した。退官後、障害者も楽しめるように車椅子によるレクリェーション・ダンス普及会を立ち上げた。還暦を過ぎて人生の2週目に入っているので、これからは社会に還元したい。
|
◇◇ 選考委員メッセージ ◇◇
◆小田島 雄志 東京大学 名誉教授
日韓関係が少し厳しい中で、草の根交流はますます大切になる。この間、各種スポーツ、音楽、演劇交流など交流が盛んになっている。日韓の草の根交流がさらに広がっていくことを期待したい。
◆安西 祐一郎 日本学術振興会 理事長・慶應義塾 前塾長
今年もすばらしい草の根交流を選ぶことができた。特に北海道で40年間交流してきた受賞者を、選ぶことが出来たのは良かった。今後はより多くの人に同基金の存在を伝えるとともに、若い人たちの日韓交流を支援していきたい。
◆川淵 三郎 日本サッカー協会キャプテン
いつも受賞者を選ぶのに苦労するほど、各地で貴重な草の根交流を行っていることに心から感心している。継続はとても大切だということを、今回の受賞者を見て思った。
◆張本 勲 元プロ野球選手・野球解説者
両国の草の根交流に努力している人たちが大勢いることを改めて感じた。スポーツも最近は各分野で交流が盛んになっている。今後も活発に行ってほしい。
◆李 禹煥 画家
各受賞者は決して恵まれているとはいえない環境の中、交流を続けていることに感心した。民間に芽生えた交流の心を世界に示し、今後も広がっていってほしい。韓日中の東アジア3カ国は、21世紀に多くの役割を果たす責務がある。ユーロのように一緒にやっていくことが大切だ。