日韓 草の根交流・第六回顕彰式典(2014年12月10日)

「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第六回顕彰式典が昨年12月10日に、
韓国文化院で行われました。




「高円宮記念日韓交流基金」の第六回顕彰式典が東京・四谷の韓国文化院で行われ、日本と韓国から「高円宮賞」4件が表彰されました。


 


◆高円宮妃殿下のおことば◆

 

 今日ここに高円宮賞を受賞された4組の方に心よりお祝い申しあげます。

国際交流について考えるとき、形だけの交流は事が起きると容易に途切れてしまいます。一方、深い信頼で結ばれた友好の絆は、そう簡単に壊れるものではありません。今回推薦のあった交流事業が長く続いているのは、関係者の信頼関係のたまものと思います。

 4件の交流事業は、いずれも民間交流ならではの純粋で爽やかな草の根活動です。皆様にお会いする度に国籍や利害を超えて一つの目的のために尽くしてくださる温かいお気持ちをうかがい知る事が出来ます。

 真の国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人一人が、一歩ずつ進めていくもので、国としての立場がたとえどの様なものであっても、人と人としては、強い信頼の絆で結ばれることが最も重要だと考えます。

 相互理解には、普段からの弛まない交流が必要です。それぞれの身近な関わりが、やがては大きな渦となって周りを巻き込み、美しい友情の輪として開花するものと信じています。日本と韓国とは隣国として昔から文化や価値観を共有する大切なパートナーです。一時の不振や誤解の殻から早く抜け出して新たなる信頼と尊敬の関係を構築したいものです。

 時代を担う若者たちが時間と空間を共有し、良い思い出をたくさん作ってほしいと思っております。新たに築き上げる友好関係こそが、両国の未来です。来年は日韓国交正常化50周年です。それに向けて力を合わせて参りたいと思います。



開会の言葉

渡邉 泰造 理事長

来賓祝辞

柳 興洙 韓国特命全権大使

来賓祝辞

安藤 裕康 国際交流基金理事長


◇◇受賞事業◇◇
■空飛ぶ車いすin 韓国(福祉・教育・文化)

代表者:愛媛県立新居浜工業高等学校(内藤 善文 校長)

<活動地域(活動年数)>
愛媛県/ 韓国ソウル、大邱、釜山他 (15 年)

<活動内容>
福祉施設から廃棄用車椅子を譲り受け、工業高校の生徒がボランティアで修理し、韓国の障害者施設や福祉センターに寄贈。自分達も韓国を訪問して韓国の学生と共同で修理して、同時に日韓の友情を培う。

<選考委員会・推薦者等の評価>
学校で学んだ技術を活かして、学業の合間に中古車椅子の修理に取り組み、輸送手段を工夫して韓国施設に届けると共に、自分達も韓国の施設を訪問して直接交流するという草の根精神を評価。

<受賞者のひと言>
部員は12人と少ないが、放課後毎日2~3時間修理をやっている。韓国へはもう4百台以上の車椅子を贈った。釜山やソウルの高校生と一緒に修理することによって、韓国のすばらしい所を沢山発見している。

■韓日教育交流事業/ 学校間交流、相互理解教育(教育・文化)

代表者:安 長江( 個人)韓日教育文化協議會 會長

<活動地域(活動年数)>
韓国全域、日本全域(40 年以上)

<活動内容>
一教師からスタートして、40年以上の長期に亘り、日韓の教育交流に携わり、私塾同士の交流や学校間の姉妹校提携をを仲介する他、韓日児童の美術展示会や、伝統文化の紹介など多彩な活動を継続。

<選考委員会・推薦者等の評価>
教育現場で一貫して青少年交流に携わり交流会を組織して直接・間接に広く活動し、日本と韓国の教育分野における共通認識と相互理解の確立に大きく貢献した。その活動の多彩さは特筆に価する。

<受賞者のひと言>
今日の栄光は生涯忘れられない感動です。日本の教育指導者に、恩返しとして差し上げたい。政府が出来ないことは、民間の手で両国の架け橋となって教育文化から始めるのが大事。

■日韓親善中学生レスリング大会(スポーツ)

代表者:全国中学生レスリング連盟(沼尻 久 会長)

<活動地域(活動年数)>
茨城県/ 韓国・釜山、大田(27 年)

<活動内容>
ジュニア層の育成を目指して中学生によるレスリング組織を設立し、韓国に1週間遠征して、合宿での共同練習とレスリング大会を通して中学生同士の交流と国際親善を図る。結果として両国の選手育成に大きく貢献。

<選考委員会・推薦者等の評価>
中学生としては珍しいレスリング交流で、四半世紀を超えて継続している。早い時期に海外遠征を経験させることによって、国際的な視野を持つ青少年の健全育成と、国際交流に貢献している。

<受賞者のひと言>
韓国とはもう47年交流している。釜山へは九州から船で行ったこともある。オリンピック競技にもレスリングの復活が決まり、スポーツを通じて日韓の友情を育みたい。

■生徒ホームスティ事業(教育・文化)

代表者:鹿児島県指宿市立指宿商業高等学校(増利 裕之 校長)

<活動地域(活動年数)>
鹿児島県指宿市/ 韓国仁川市(24 年)

<活動内容>
指宿商業高校と韓国の永化観光経営高校とのホームステイによる相互交流で、長く続いた韓国への修学旅行に加えて、7泊8日のホームステイを実施している。指宿では「おもてなし精神」を発揮した活動が定着。

<選考委員会・推薦者等の評価>
韓国語授業・修学旅行・ホームステイが一体化して、地域に密着した交流となっている。相手校も観光の専門学校で日本語授業があり、お互いの立地と専門学校の特性を生かした交流を継続。

<受賞者のひと言>
商業科専門の中規模高校だが、修学旅行を通じて交流を深めてきた。お互いの深い絆はホームステイとして定着し、韓国からも毎年やってくる。教育・文化を通じてコミュニケーション能力を高めたい。