日韓 草の根交流・第七回顕彰式典(2015年12月14日)

「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第七回顕彰式典が昨年12月14日に、
韓国文化院で行われました。




「高円宮記念日韓交流基金」の第七回顕彰式典が東京・四谷の韓国文化院で行われ、「高円宮賞」4件が授与されました。


 


◆高円宮妃殿下のおことば◆

 

 今回で7回目を迎えますが、毎年、日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々やそれを支援する企業、団体の皆様が、日本と韓国から共に集まって受賞の喜びを分かち合えることを何より幸せと思います。

 真の国際交流とは国や組織単位ではなく、その国が組織を形成する一人ひとりの人間が一歩ずつ進めていくものです。国としての立場がたとえどのようなものであっても国民同士は強い信頼の絆に結ばれることが最も重要と考えます。日本と韓国は隣国として昔から文化や価値観を共有する大切なパートナーであり、是非とも将来に向けて変わることのない信頼と友好の関係を固めてまいりたいと思います。

 信頼の絆というものは、一朝一夕にして築き上げれるものではありませんが、いったん築き上げられた信頼関係はそう簡単に崩れるものではありません。特に時代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが両国の未来です。

 相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要であり、それぞれの地道な交わりが、やがては大きな渦となって周りを巻き込み美しい友情の輪になっていくものと信じております。こうしたことからも、わたくしは高円宮記念日韓交流基金の地道な活動を大切にしていきたいと思います。

 これからも地道な草の根活動によって日本と韓国の人の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを心より願っております。



開会の言葉

渡邉 泰造 理事長

来賓祝辞

羅 鍾一 名誉顧問

来賓祝辞

柳 興洙 韓国特命全権大使

来賓祝辞

安藤 裕康 国際交流基金理事長


◇◇受賞事業◇◇
■関釜親善ソフトテニス大会(スポーツ)

代表者:下関市ソフトテニス連盟(渡邊 増男 会長)

<活動地域(活動年数)>
山口県下関市/ 韓国釜山市 (39 年)

<活動内容>
1976年に第1回大会を釜山で開催して以来、下関と交互に39回ソフトテニス大会を開催し、深い信頼関係を築いている。下関市での韓国とのスポーツ大会は11種目あるが、その中でも最も長期に亘って継続している。

<選考委員会・推薦者等の評価>
下関と釜山という地の利を活かして、長期に活動が継続している。当初のシニア層から青少年の交流に軸足を移し、日韓の将来を見据えたスポーツ交流を展開している。船中泊を利用し、無駄を省いた市民交流である。

<受賞者のひと言>
下関市と釜山市が76年に姉妹友好都市を結んだのをきっかけに活動を始めた。中高生に同世代の選手との交流体験を与えると同時に、隣国である韓国の雰囲気を肌で知ってもらいたいとの思いで交流を続けてきた。「朝鮮通信使」や「馬韓まつり」なども含めて、今後もこのテニス交流を継続して行きたい。

■大韓民国修学旅行~真の国際人を育てるための若者たちの交流プログラム~(教育・文化)

代表者:学校法人 智辯学園高等学校(藤田 清司 理事長)

<活動地域(活動年数)>
奈良県五條市他/ 韓国ソウル市、慶州市 (41 年)

<活動内容>
ソウル市内の漢陽高校と姉妹提携し、41年間交互に学校訪問をしている。智辯学園ではハングル語講座も開設し、学習の一環として全生徒を対象に修学旅行を計画し、「見る・知る・感じる」教育を実地している。

<選考委員会・推薦者等の評価>
「無事帰る」という記事が新聞に載るほどまだ韓国の政情不安定な時期から、高校生の交流を始め、長期に亘って継続している。参加する生徒も数百人規模で、国際人を育成するための大規模な交流となっている。

<受賞者のひと言>
41年前、父である先代理事長が日本で最初に韓国への修学旅行を実施した。35回目の時、父は病身だったが家族の反対を押し切って韓国に行ってスピーチを行い、両国の高校生が泣きながら聞いてくれた。その年に父は亡くなった。命をかけて続けてきた父の遺志を継いで、私も何があっても続けていく。

■瀬戸内牛窓国際交流フェスタ実施事業(文化)

代表者:瀬戸内牛窓国際交流フェスタ実行委員会(広畑 周子 会長)

<活動地域(活動年数)>
岡山県瀬戸内市/ 韓国密陽市(25 年)

<活動内容>
江戸時代に朝鮮通信使が寄港した岡山県の瀬戸内市牛窓地域を中心に、100人以上が参加する行列と芸能イベントを25年間に亘って実施している。地元生徒や韓国密陽市の生徒も参加し、人形劇や舞踊を繰り広げる。

<選考委員会・推薦者等の評価>
一端中止になったのを民間の手で復活させ、朝鮮通信思使の誠心交隣と友好の精神を今に伝える。日韓国交正常化50周年に当り朝鮮通信使の平和精神を蘇らせることは、今後の日韓関係の改善に役立つと思われる。

<受賞者のひと言>
「朝鮮通信使」の再現行列が行政の手で長らく続いていたが、一度中止となった。しかしこれを何とか復活させたいと、「無謀だ」と言われながらも、民間の人達が立ち上がり何とか復活させることが出来た。今は韓国や在日の子供達も参加し、大きなイベントとなっている。これを更に進化させる形で発展させたい。

■舞鶴学園による日韓交流事業(福祉)

代表者:社会福祉法人 舞鶴学園(桑原 教修 理事長)

<活動地域(活動年数)>
京都府舞鶴市/ 韓国仁川市(20 年)

<活動内容>
日本と韓国の児童擁護施設間の相互交流で、子供たちが自分で企画立案し1週間生活と行動を共にする。虐待を受けて心を閉ざしがちな青少年に新しい体験をさせて、少しでも夢を与えることが出来るよう活動中。

<選考委員会・推薦者等の評価>
子供達に夢を与えたいとして始めた施設関係者の情熱と博愛精神を高く評価すると共に、かつて沈没事故により亡くなった朝鮮人労働者を救助・慰霊した史実を伝える地元での活動も、日韓の友好親善に一役買っている。

<受賞者のひと言>
20年前にアジアの子供との交流の話があった時に、韓国の子供を引き受けた。日本人が戦後失いかけていたような心温まるメッセージが届き、韓国にも是非日本の子供達を連れて行きたいと思った。養護施設では家に帰れない子供が8割だ。今は、毎年、夏は日本で、クリスマスは韓国でホームステイをしている。