令和最初の高円宮記念日韓交流基金の顕彰式典にて、皆様とお会いすること、大変うれしく思います。今年も日本では台風や豪雨により多くの被害が発生いたしました。始めに災害に遭われた方に心よりお見舞い申し上げ、1日も早い復興・復旧を心より願っております。
基金設立10周年を昨年、無事に終えて、この式典も今回で11回目を迎えますが、毎年日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々やそれを支援する企業・団体の皆様が日本と韓国からともに集まって、受賞の喜びを分かち合えることを何より幸せと思います。そうした心温まる交流を長く続けてこられ、今日ここに、高円宮賞を受賞された4件の交流事業の方々に心よりお祝いを申し上げます。またそれを支援してこられた人々のご努力にも感謝いたします。
宮様は国民一人一人がお互いに仲良くなれば、国と国も仲良くなる、共に新しい未来を切り拓くことができるとのお考えをお持ちでいらっしゃいました。日本と韓国は古来より密接な関係にあり、人や文化が海峡を越えて行き来するのが当たり前でした。両国が手を取り合って歩んできた輝かしい歴史があります。どんな困難な状況にあっても、これからもお互いに助け合い、支え合って、未来を作り上げていくことが大事だと思います。真の国際交流とは国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人ひとりの人間が一歩ずつ進めていくものだと思います。国としての立場がたとえどのようなものであっても、国民同士がまず信頼の絆に結ばれることがもっとも重要と考えます。日本と韓国とは隣国として文化や価値観を共有する大切なパートナーであり、是非とも将来に向けて変わることのない信頼と友好の関係を固めて参りたいと存じます。信頼の絆は一朝一夕にして築き上げられるものではございません。しかし一旦築き上げられた信頼関係は、そう簡単に崩れるものではありません。相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要です。特に次代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが両国の未来を構築するものです。今こそ、こうした民間交流が重要であり、それぞれの地道な関わりが幾重にも重なり、そして広がり、美しい友情の輪となっていくものと信じて、高円宮記念日韓交流基金はそのような地道な活動を顕彰して参りたいと存じます。
高円宮賞を差し上げる4件の交流事業は、地域と学校、青少年が一体となった教育や文化交流や、一人一人の自立を目指す児童養護施設間の社会福祉事業です。今年は推薦が減るのではないかと心配しておりましたが、昨年を上回る推薦や応募があったようで20年、30年ととても長い期間交流しているものが多かったようです。やはり人と人との信頼関係によって築かれた友情の絆はどんな逆風の中でも途絶えることがないのだと思います。私はこうした交流事業に接するたびに、国籍を超えて、利害を超えて、一つの目的のために邁進されている温かくて、たくましい人々の姿を知ることができます。この先、さらに多くの方々のご支援がこうした活動に集まるよう、ご列席の皆様には一層のお力添えをお願いいたします。これからも、地道な草の根活動によって日本と韓国の人々の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを願いまして、私の式典に寄せる言葉といたします。