日韓 草の根交流・第十二回顕彰式典(2023年12月13日)

「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第十二回顕彰式典が2023年12月13日に
韓国文化院で行われました。




「高円宮記念日韓交流基金」の第十二回顕彰式典が東京・四谷の韓国文化院で行われ、「高円宮賞」3件が授与されました。


 


◆高円宮妃殿下のおことば◆

4年ぶりに高円宮記念日韓交流基金の顕彰式典で皆様とお会いできますことを大変嬉しく思います。この式典も今回で12回目を迎えますが、こうして日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々や、それを支援する企業・団体の皆様が日本と韓国から共に集まって受賞の喜びを分かち合えることをとても幸せと思います。

そして心温まる交流を長く続けてこられ、今日ここに高円宮賞を受賞された3件の交流事業の方々に心よりお祝い申し上げます。また、それを支援してこられた人々の御努力にも心より感謝申し上げます。

宮様がお亡くなりになって、昨年でちょうど20年を迎えました。宮様は国民一人一人がお互いに仲良くなれば、国と国も仲良くなり、共に新しい未来を切り開くことができるという信念を私たちに希望の種として託してくださったように感じます。

思えば、日本と韓国は古来密接な関係にあり、韓国や日本という国名が誕生するはるか以前より人や文化が海峡を越えて行き来しておりました。両国が手を取り合って歩んできた輝かしい強い歴史があるということは紛れもない事実です。ぜひともこの希望の種を育て、どのような困難な状況にあっても、お互いが助け合い、支え合ってお互いを尊敬する未来をつくり上げていくことが大事だと思います。

真の国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人一人の人間が一歩ずつ進めていくことです。国としての立場がたとえどのようなものであっても、国民同士がまず強い信頼の絆に結ばれることが最も重要と申せましょう。

日本と韓国とは隣国として、昔から文化や価値観を共有する大切なパートナー、もしくは兄弟のような関係です。だからこそ、時として仲たがいをしたとしても強い絆で結ばれているのが本来の姿と言えましょう。ぜひとも将来に向けて変わることのない強い信頼関係を固めて参りたいと存じます。

信頼の絆というものは、一朝一夕にして築き上げられるものではございません。しかし、いったん築き上げられた信頼関係はそう簡単に崩れるものでもありません。相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要です。特に次代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが両国の未来を構築するのに必要不可欠です。日韓の関係が改善しつつある今こそ、こうした民間交流がとても重要です。それぞれの地道な関わりが、やがては大きな渦となり、周りを巻き込み、新しい友情の和として開花するものと信じております。

あとで具体的な紹介がございますが、高円宮賞を差し上げる3件の交流事業はいずれも素晴らしい内容のものです。こうした交流事業に接し、私は国籍を越えて一つの目的のために邁進されている、温かくてたくましい方々の姿に感動するとともに、人と人の信頼関係によって築かれた友情の絆は、どんな逆風の中でも途絶えることがないと固く信じております。

この先、さらに多くの方々のご支援がこうした活動に集まるよう、ご列席の皆様方には一層のお力添えをお願い申し上げます。これからの地道な草の根活動によって、日本と韓国の人々の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを心より願いまして、式典に寄せる言葉といたします。



開会の言葉

柳井 俊二 理事長

来賓祝辞

羅 鍾一 名誉顧問
(元・韓国特命全権大使)

来賓祝辞

尹 徳敏
韓国特命全権大使

来賓祝辞

梅本 和義
国際交流基金理事長


◇◇受賞事業◇◇
■韓日親善少年スポーツ大会(スポーツ)

代表者: 韓国京都青年会議所(姉嵜 仁志 会長)

<活動地域(活動年数)>
京都 / ソウル(35年)

<活動内容>
過去35年に亘って、最初少年サッカー大会を28回、少年野球チームの交流を7回実施。2泊3日の日程で、親善試合の他に懇親会、両国の文化体験、自治体への訪問などを行う。これまでの交流人数は5千人を超える。

<選考委員会・推薦者等の評価>
継続期間が35年と長いことと、コロナの影響の残る今年も野球大会を開催し、会費制で自分達で費用を出し合って、中学生を対象とした直接相互交流を通じて、友情と絆を培い、日韓の友好親善に貢献している。

<受賞者のひと言>
韓日親善少年スポーツ大会は、1981年のサッカー交流に始まり、2014年からは野球交流となった。新型コロナの影響で3年間中断されたが、本年再開する運びとなり、ウェルカム・パーティーでは両校の選手たちが緊張から徐々に解き放たれ、言葉の壁を乗り越え、本番当日は熱い勝負を繰り広げていた。その夜の友情の宴では、前日よりも互いに近づき、ジェスチャーなども交えて更に友情を深め、最後のお別れの場では笑顔で抱き合う選手たちも見られた。

■日韓親善子供大使友好の翼(教育・文化)

代表者: 日韓親善子供大使友好の翼 実行委員会(山口 紀史 委員長)

<活動地域(活動年数)>
鹿児島県霧島市(小学校) / 釜山広域市(培英初等学校)(31年)

<活動内容>
学校間交流で、絵画交流を契機に、陵南小学校の生徒が韓国・培英小学校を訪問し、途中からは相互交流に発展した。以前は3泊4日、コロナ後は2泊3日で、交流会に加え、一人でホームステイし、体験と親睦を深める。

<選考委員会・推薦者等の評価>
継続期間が30年を経過していること、鹿児島という遠隔地でありながら、家族ぐるみで交流を続けている。韓国語の言葉や歌など、入念な事前学習を行い、地域を挙げて小学生の交流を支援し、子供達の自主性を高めている。

<受賞者のひと言>
私たちの交流の特色は小学生の相互ホームステイにある。夏に日本の子供たちが釜山を訪問し、冬に韓国の子供たちが鹿児島を訪問する。こうした交流は心の通い合う家族ぐるみの交流となり、双方で971名の児童等が参加してきた。近年はLINEやカカオトークで訪問後も交流が続いており、中学生・高校生、更には大学生・社会人になっても、お互いの国で再会したり、大学に留学したり、結婚式に呼ばれたりと各家庭で交流が続いている。

■韓日青少年教育文化交流事業(教育・文化)

受賞者: 李 載玄 様(韓日教育文化協議会 副会長)

<活動地域(活動年数)>
韓国(ソウル、京機、釜山、大邱、大田、順川) / 日本(東京、大阪、名古屋、京都、奈良)(47年)

<活動内容>
韓国と日本の各地で、韓国式の茶道と伝統文化を幼児から大学生に至るまで指導し、日韓青少年の礼節向上に貢献している。また、李方子妃殿下直伝の博愛精神を伝える。

<選考委員会・推薦者等の評価>
47年もの長期間、信念を持って一貫して茶道による人間教育活動を続けており、対象も多岐に亘り、韓国のみならず日本各地でも実地に指導し、その影響力は大きい。

<受賞者のひと言>
私が韓国の茶道教育と文化に対し関心を持ったのは、父母の影響が非常に大きかった。韓日両国の未来のためには、青少年の時期から利己主義的な態度を自制し、基本秩序の教育と親切、そして信頼を基盤とした文化意識を持つことが必要と思う。この40年間茶道巡回指導と茶道を通じた人間教育、韓日伝統茶文化の紹介、家庭に於ける礼節教育など、青少年の社会教育に意を注いできた。