4年ぶりに高円宮記念日韓交流基金の顕彰式典で皆様とお会いできますことを大変嬉しく思います。この式典も今回で12回目を迎えますが、こうして日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々や、それを支援する企業・団体の皆様が日本と韓国から共に集まって受賞の喜びを分かち合えることをとても幸せと思います。
そして心温まる交流を長く続けてこられ、今日ここに高円宮賞を受賞された3件の交流事業の方々に心よりお祝い申し上げます。また、それを支援してこられた人々の御努力にも心より感謝申し上げます。
宮様がお亡くなりになって、昨年でちょうど20年を迎えました。宮様は国民一人一人がお互いに仲良くなれば、国と国も仲良くなり、共に新しい未来を切り開くことができるという信念を私たちに希望の種として託してくださったように感じます。
思えば、日本と韓国は古来密接な関係にあり、韓国や日本という国名が誕生するはるか以前より人や文化が海峡を越えて行き来しておりました。両国が手を取り合って歩んできた輝かしい強い歴史があるということは紛れもない事実です。ぜひともこの希望の種を育て、どのような困難な状況にあっても、お互いが助け合い、支え合ってお互いを尊敬する未来をつくり上げていくことが大事だと思います。
真の国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人一人の人間が一歩ずつ進めていくことです。国としての立場がたとえどのようなものであっても、国民同士がまず強い信頼の絆に結ばれることが最も重要と申せましょう。
日本と韓国とは隣国として、昔から文化や価値観を共有する大切なパートナー、もしくは兄弟のような関係です。だからこそ、時として仲たがいをしたとしても強い絆で結ばれているのが本来の姿と言えましょう。ぜひとも将来に向けて変わることのない強い信頼関係を固めて参りたいと存じます。
信頼の絆というものは、一朝一夕にして築き上げられるものではございません。しかし、いったん築き上げられた信頼関係はそう簡単に崩れるものでもありません。相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要です。特に次代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが両国の未来を構築するのに必要不可欠です。日韓の関係が改善しつつある今こそ、こうした民間交流がとても重要です。それぞれの地道な関わりが、やがては大きな渦となり、周りを巻き込み、新しい友情の和として開花するものと信じております。
あとで具体的な紹介がございますが、高円宮賞を差し上げる3件の交流事業はいずれも素晴らしい内容のものです。こうした交流事業に接し、私は国籍を越えて一つの目的のために邁進されている、温かくてたくましい方々の姿に感動するとともに、人と人の信頼関係によって築かれた友情の絆は、どんな逆風の中でも途絶えることがないと固く信じております。
この先、さらに多くの方々のご支援がこうした活動に集まるよう、ご列席の皆様方には一層のお力添えをお願い申し上げます。これからの地道な草の根活動によって、日本と韓国の人々の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを心より願いまして、式典に寄せる言葉といたします。