日韓 草の根交流・第十三回顕彰式典(2024年12月18日)

「一般財団法人 高円宮記念日韓交流基金」の
日韓の青少年・草の根交流を顕彰する
第十三回顕彰式典が2024年12月18日に
韓国文化院で行われました。




「高円宮記念日韓交流基金」の第十三回顕彰式典が東京・四谷の韓国文化院で行われ、「高円宮賞」3件が授与されました。


 


◆高円宮妃殿下のおことば◆

昨年に引き続き、高円宮記念日韓交流基金の顕彰式典で皆様とお会いできますことを大変嬉しく思います。この式典も今回で13回目を迎えますが、日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々や、それを支援する企業・団体の皆様が日本と韓国から共に集って受賞の喜びを分かち合えることを何よりの幸せと思います。

そうした心温まる交流を長く続けてこられ、今日ここに高円宮賞を受賞された3件の交流事業の方々に心よりお祝い申し上げます。また、それを支援してこられた方々にも感謝いたします。

早いもので、宮さまがお亡くなりになってもう20年以上が経ちました。 宮様は国民一人一人がお互いに仲良くなれば、国と国も仲良くなり、共に新しい未来を切り開くことができるという信念を、私たちに希望の種として託してくださったように感じます。

思えば、日本と韓国は古来密接な関係にあり、韓国や日本という国名が誕生するはるか以前より、人や文化が海峡を越えて行き来しておりました。両国が手を取り合って歩んできた輝かしい歴史があるということは紛れもない事実です。どのような困難な状況にあっても、ぜひともこの希望の種を育て、お互い助け合い、支えあってお互いを尊敬する未来を作り上げていくことが大事だと思います。

真の国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人一人の人間が一歩ずつ進めていくものだと思います。国としての立場がたとえどのようなものであっても、国民同士がまず強い信頼の絆に結ばれることが最も重要だと考えます。日本と韓国とは隣国として昔から文化や価値観を共有する大切なパートナーであり、ぜひとも将来に向けて変わることのない信頼と友好の関係を固めて参りたいと存じます。

信頼の絆というものは、一朝一夕にして築き上げられるものではございません。しかし、いったん築き上げられた信頼関係というものは、そう簡単に壊れるものでもありません。相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要です。特に、次代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが、両国の未来を構築するものです。日本と韓国の関係が改善しつつあると思っていた矢先にどうなるかちょっと不安定になってしまいましたが、こうした民間交流が重要です。それぞれの地道な交わりが、やがては大きな渦となって、周りを巻き込み、美しい友情の輪として開花するものと信じております。こうしたことから、私は、高円宮記念日韓交流基金の地道な活動を大切にしていきたいと思っております。

あとで具体的なご紹介がございますけれども、高円宮賞を差し上げる3件の交流事業はいずれも素晴らしい内容でした。こうした交流事業に接し、私は国籍を越えて一つの目的のために邁進されている、温かくてたくましい方々の姿に感動するとともに、人と人の信頼関係によって築かれた友情の絆が、どんな逆風の中でも途絶えることがないと固く信じております。

この先、さらに多くの方々のご支援がこうした活動に集まるよう、ご列席の皆様には一層のお力添えをお願い申し上げます。これからも地道な草の根活動によって、日本と韓国の人々の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを強く願って、私のお祝いの言葉とさせていただきます。



開会の言葉

柳井 俊二 理事長

来賓祝辞

羅 鍾一 名誉顧問
(元・韓国特命全権大使)

来賓祝辞

孔 炯植
韓国文化院 院長

来賓祝辞

河村 建夫
日韓親善協会中央会 会長


◇◇受賞事業◇◇
■友好都市スポーツ交流事業(スポーツ)

代表者: 日高市スポーツ少年団(加成 宜也 本部長)

<活動地域(活動年数)>
埼玉県日高市 / 韓国京畿道烏山市(23年)

<活動内容>
日高市は韓国の烏山市と1996年に友好都市となり、2002年のW杯を契機として、2003年から日高市の小学生選抜チームによるサッカー交流を継続している。ホームステイも併せ実施し、韓国語での挨拶や生活習慣を体験している。

<選考委員会・推薦者等の評価>
日高市スポーツ少年団は子供達の健全育成の為にボランティアで活動し友情を育んでいる。市民交流の模範としての真心のこもった交流であり、韓国語の事前学習を含めて、交流が長く続いており、関係者の熱意も感じられる。

<受賞者のひと言>
市民レベルでの交流と青少年の健全育成を目的に、2003年から烏山市と日高市、両市の小学生による友好都市サッカー交流事業を実施している。会場は烏山市と日高市で毎年交互に開催し、選手は交流相手の選手の家にホームステイをして生活習慣や文化に触れて相互理解を高めている。子どもたちの未来に精一杯の愛情を注ぎながら、引き続き両市で協力して心の通った交流、市民レベルの交流を進めていきたい。

■児童養護施設間の日韓交流事業(教育・文化・福祉)

代表者: 社会福祉法人 聖霊愛児園 (横川 伸 園長)

<活動地域(活動年数)>
金沢市 / ソウル特別市(30年)

<活動内容>
ソウルの東明学園との交流で、双方の児童養護施設で暮らす子供たちがお互いに訪問し合い、生活を共にしてゲームなどで交流する。特殊な環境にある子供たちに両国の歴史と文化を正しく理解させ、将来の成長に繋げる。

<選考委員会・推薦者等の評価>
特殊な環境下にあって、継続期間が30年と長く、施設で暮らしながらも、両国の歴史と未来を見据えた活動で、子どもたちに希望を与えている。過去を知り、差別や偏見をなくし、お互いに尊厳を守り合うことにも寄与している。

<受賞者のひと言>
毎年交互に韓国と日本それぞれの国を訪れて、お互いの文化や習慣に触れながら社会的養護の課題を話し合い、そして子どもたちの様子を確認し合ってきた。相手を思いやる気持ちを持った人が存在し、その思いに寄り添いながら共に関わりを継続していくことがとても大事になっていると思う。そのような関わりを基本にして、子どもたちが施設を巣立ち、社会の中で活躍していくことを願いながらこれからも交流を続けていきたい。

■韓日青少年教育文化交流事業(教育・文化)

受賞者: 李 枏皎(リ・ナムキョ)氏 (韓日教育文化協議会 副会長)

<活動地域(活動年数)>
日本(福岡、大阪、神戸) / 韓国(ソウル、大邱、太田、順天)(45年)

<活動内容>
韓国の教育担当公務員として、福岡や神戸の韓国教育院に勤務し、日韓の教育・文化交流に長く携わり、韓国への修学旅行や学校間交流を促進し、韓国語や日韓の歴史に関する著書も多く出版し、長く青少年を啓蒙してきた。

<選考委員会・推薦者等の評価>
韓国教育界の第一人者で、45年もの長期間、信念を持って一貫して教育活動に携わってきた。教育長や大学の総長なども務め、社会的影響力も大きく、活動内容も多彩で、出版活動も含め、直接・間接的に多くの青少年に影響を与えてきた。

<受賞者のひと言>
1980年代始めの日本の学生たちは韓国に対して何も知らなかったため、日韓の中高生の交流の必要性を感じ、韓国への修学旅行を積極的に推進してきた。日本と韓国はひとつの根から出た兄弟の国だと思い、日本の歴史を紹介し、韓国語の教材を作り、両国の相互交流のために力を注いできた。日韓両国の教育・文化・スポーツの交流を通じてお互いの人たちが良い友となり、国際社会の発展に寄与しながら新しい時代を拓いていくため、これからも最善を尽くしたい。