昨年に引き続き、高円宮記念日韓交流基金の顕彰式典で皆様とお会いできますことを大変嬉しく思います。この式典も今回で13回目を迎えますが、日本と韓国の青少年草の根交流に携わる方々や、それを支援する企業・団体の皆様が日本と韓国から共に集って受賞の喜びを分かち合えることを何よりの幸せと思います。
そうした心温まる交流を長く続けてこられ、今日ここに高円宮賞を受賞された3件の交流事業の方々に心よりお祝い申し上げます。また、それを支援してこられた方々にも感謝いたします。
早いもので、宮さまがお亡くなりになってもう20年以上が経ちました。 宮様は国民一人一人がお互いに仲良くなれば、国と国も仲良くなり、共に新しい未来を切り開くことができるという信念を、私たちに希望の種として託してくださったように感じます。
思えば、日本と韓国は古来密接な関係にあり、韓国や日本という国名が誕生するはるか以前より、人や文化が海峡を越えて行き来しておりました。両国が手を取り合って歩んできた輝かしい歴史があるということは紛れもない事実です。どのような困難な状況にあっても、ぜひともこの希望の種を育て、お互い助け合い、支えあってお互いを尊敬する未来を作り上げていくことが大事だと思います。
真の国際交流とは、国や組織単位ではなく、その国や組織を形成する一人一人の人間が一歩ずつ進めていくものだと思います。国としての立場がたとえどのようなものであっても、国民同士がまず強い信頼の絆に結ばれることが最も重要だと考えます。日本と韓国とは隣国として昔から文化や価値観を共有する大切なパートナーであり、ぜひとも将来に向けて変わることのない信頼と友好の関係を固めて参りたいと存じます。
信頼の絆というものは、一朝一夕にして築き上げられるものではございません。しかし、いったん築き上げられた信頼関係というものは、そう簡単に壊れるものでもありません。相互理解には普段からの絶え間ない交流が必要です。特に、次代を担う青少年が新たに築き上げる友好関係こそが、両国の未来を構築するものです。日本と韓国の関係が改善しつつあると思っていた矢先にどうなるかちょっと不安定になってしまいましたが、こうした民間交流が重要です。それぞれの地道な交わりが、やがては大きな渦となって、周りを巻き込み、美しい友情の輪として開花するものと信じております。こうしたことから、私は、高円宮記念日韓交流基金の地道な活動を大切にしていきたいと思っております。
あとで具体的なご紹介がございますけれども、高円宮賞を差し上げる3件の交流事業はいずれも素晴らしい内容でした。こうした交流事業に接し、私は国籍を越えて一つの目的のために邁進されている、温かくてたくましい方々の姿に感動するとともに、人と人の信頼関係によって築かれた友情の絆が、どんな逆風の中でも途絶えることがないと固く信じております。
この先、さらに多くの方々のご支援がこうした活動に集まるよう、ご列席の皆様には一層のお力添えをお願い申し上げます。これからも地道な草の根活動によって、日本と韓国の人々の出会いの場が広がり、交流の絆がさらに強くなっていくことを強く願って、私のお祝いの言葉とさせていただきます。